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インフラトンのふるまいを知るため,一般の曲がった時空中での実スカラー場
のゆらぎの運動を調べる必要がある.実スカラー場のラグランジアン密度は式
(B.2.108),すなわち
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(K.2.1) |
で与えられる.このときの運動方程式は式(B.2.109),すなわち
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(K.2.2) |
となり,対称エネルギー運動量テンソルは式(B.2.111),すなわち
![$\displaystyle {T^\mu}_\nu = g^{\mu\lambda}\partial_\lambda \phi \partial_\nu \p...
...ac12 g^{\alpha\beta} \partial_\alpha \phi \partial_\beta \phi + V(\phi) \right]$](img3473.png) |
(K.2.3) |
である.このスカラー場のゆらぎを相対論的に扱うため,第10章の
相対論的摂動論の手法を適用する.まず,スカラー場を非摂動部と摂動部に分
け,
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(K.2.4) |
とする.ここで,
はコンフォーマル時間である.すると,運動方程式
(11.2.2)は非摂動部について
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(K.2.5) |
また摂動部について
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(K.2.6) |
と計算される.ここでダッシュはコンフォーマル時間での微分,また,
などの記号を使った.以降
,
,
などは
で評価される量として引数
を省略する.
エネルギー運動量テンソル(11.2.3)の一様成分は
となるのでエネルギー密度と圧力の一様成分は
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(K.2.10) |
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(K.2.11) |
と表される.さらに式(11.2.3)のゆらぎの成分は
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(K.2.12) |
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(K.2.13) |
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(K.2.14) |
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![$\displaystyle \delta {T^i}_j =
\left[
\frac{\bar{\phi}'}{a^2}\left(\delta\phi' - \bar{\phi}' A\right)
- V_{,\phi} \delta\phi
\right] {\delta^i}_j$](img3489.png) |
(K.2.15) |
と計算されるので,式(10.4.124)-(10.4.127)と比べることにより,
エネルギー密度のゆらぎ(
),圧力のゆらぎ
,流速
および非等方ストレス
は
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(K.2.16) |
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(K.2.17) |
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(K.2.18) |
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(K.2.19) |
と対応することがわかる.ここで,もし全物質ゲージなどの共動ゲージ
をとると式(11.2.17)によりスカラー場のゆらぎの非一様成分が消え
てしまうことに注意しよう.全物質ゲージは密度ゆらぎの成長を追うのには都
合がよいが,スカラー場のゆらぎがうまく取り扱えない.はじめからゲージ固
定をする方法では問題によって不適切なことが起こってしまう一例である.
そこでスカラー場のゆらぎをゲージ不変な方法で取り扱う.スカラー場は座標
変換
について不変,
つまり
と変換するから,1次では
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(K.2.20) |
となる.したがって,スカラー場ゆらぎのゲージ変換は
 |
(K.2.21) |
で与えられる.すると次のようにゲージ不変なスカラー場ゆらぎが定義できる:
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(K.2.22) |
そこで運動方程式(11.2.6)をこのゲージ不変量によって書き直すと当
然ゲージ依存項は消えて
 |
(K.2.23) |
となる.
また,式(10.4.145)-(10.4.147)のゲージ不変量は,式
(11.2.16)-(11.2.18)により
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(K.2.24) |
| |
|
 |
(K.2.25) |
| |
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(K.2.26) |
と表される.
スカラー場の非等方ストレスがゼロになることから,アインシュ
タイン方程式(10.4.154)により計量のゲージ不変量について
 |
(K.2.27) |
となる.したがって運動方程式(11.2.23)は
 |
(K.2.28) |
と書き直せる.いまインフレーションにより平均曲率はほとんどゼロになって
いるので,簡単のため
とおくことにする.この場合背景場の方程式
(10.4.82)は
 |
(K.2.29) |
となる.すると,非等方ストレスのない場合のアインシュタイン方程式
(10.4.174)-(10.4.176)はこの場合
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![$\displaystyle \triangle {\mit\Phi}- 3{\cal H} {\mit\Phi}' -
\left({\cal H}' + 2...
...r{\phi}' \delta{\phi^{\rm (GI)}}' +
a^2 V_{,\phi} \delta\phi^{\rm (GI)}
\right]$](img3508.png) |
(K.2.30) |
| |
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(K.2.31) |
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![$\displaystyle {\mit\Phi}'' + 3{\cal H}{\mit\Phi}' +
\left({\cal H}' + 2{\cal H}...
...r{\phi}' \delta{\phi^{\rm (GI)}}' -
a^2 V_{,\phi} \delta\phi^{\rm (GI)}
\right]$](img3510.png) |
(K.2.32) |
となる.式(11.2.30)と式(11.2.32)を足した式
 |
(K.2.33) |
と式(11.2.31)から
を消去すればゲージ不
変ポテンシャル
に対する方程式
 |
(K.2.34) |
を得る.
一方で,背景場の方程式(11.2.5)を用いると,スカラー場の音速に対
応する量は
 |
(K.2.35) |
と計算され,これを式(10.4.177)に用いれば
 |
(K.2.36) |
となる.この式から式(11.2.34)を引けばエントロピーゆらぎが
 |
(K.2.37) |
で与えられることがわかる.
ここで次のゲージ不変な変数
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(K.2.38) |
を導入すれば式(11.2.34)はスカラー場の方程式(11.2.5),
(11.2.28)を用いることにより
 |
(K.2.39) |
となることがわかる.ここで
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(K.2.40) |
は背景時空の時間変化によってきまる,時間のみの関数である.この変数
は式(10.5.197)の曲率ゆらぎ
と密接な関係にある.事実,ゲー
ジ不変速度は式(11.2.26)で与えられるので,曲率ゆらぎは
 |
(K.2.41) |
となる.ここからただちに
 |
(K.2.42) |
であることがわかる.
運動方程式(11.2.38)は次の作用から導かれることがわかる:
 |
(K.2.43) |
ただしいまは平坦な背景時空を考えていることに注意する.ここではラグラン
ジアン密度を運動方程式から求めたが,実は,同じものを重力とスカラー場の
共存系の作用(式(B.2.105), (B.2.106), (B.2.108)を見よ)
![$\displaystyle S = \frac{1}{c}\int\sqrt{-g}d^4x \left[ \frac{c^4}{16\pi G}R - \frac12 g^{\mu\nu} \partial_\mu \phi \partial_\nu \phi - V(\phi) \right]$](img3525.png) |
(K.2.44) |
から直接導くことも可能である.この作用から計量とスカラー場について展開
して2次の摂動を取り出し,背景場の方程式を代入し,さらにゲージ変換に関
する拘束条件を求めて代入して,さらに表面項を落とせば導かれる
K1のだが,かなり長い計算を必要と
する.
式(11.2.40)のラグランジアン密度を静止時空上での自由スカラー場
のラグランジアン密度(8.4.101)と比較してみれば,質量項が
と対応し,有効的に質量が負で,さらに時間変化するような系と同等
なものであることがわかる.
Footnotes
- ...
する拘束条件を求めて代入して,さらに表面項を落とせば導かれるK1
- V. F. Mukhanov, H. A. Feldman, and R. H. Brandenberger,
Physics Report, Vol.215, 203-335 (1992)
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