密度ゆらぎの線形成長解を球対称モデルにより非線形領域まで外挿し、天体形 成を解析的に記述するモデルが考えられている.一般にゆらぎは球対称ではな いのであるが,ある時期に形成される天体の数密度を見積もるのにこのモデル が用いられ,現象論的によいモデルであることが知られている.これはプレス・ シェヒター理論と呼ばれ,宇宙論的な構造形成理論において広く用いられてい る.
質量が
から
の間にあるような天体の,単位体積あたりの数密度
を
とするとき,この
を質量関数という.プレス・シェヒター理
論はこの関数を解析的に求めるモデルである.まず,ある点のまわり
に半径
の球を考えると,ゆらぎが小さい場合その球の内部に存在する質量
は
である.このように半径と質量が対応し,その球
の内部で密度ゆらぎを平均した量を質量スケール
のゆらぎ
という.
ガウシアンゆらぎでは,このような平均操作した量もガウシアン統計にしたが
うので,その分布関数は
十分初期のある一点に存在する物質素片が時間発展とともにどうなるかという
ことを考える.プレス・シェヒター理論では,その点において線形成長解から
求めた質量スケール
のゆらぎ
がある値
を越えた
とき,近くに質量
の天体が形成され,その物質素片はその天体の一部として
取り込まれると考える.この臨界値
は,
式(16.3.18)で与えられる球対称モデルの崩壊点を与える線形ゆらぎの
値
が通常用いられる.この臨界値を越える領
域P2の
割合は質量スケールの関数として
簡単な場合として,ゆらぎの分散が巾乗の形
で与えられるときを考えてみる.これはゆらぎのパワースペクト
ルが巾乗の形
で与えられる場合に対応し,そのべき指数の
関係は式(6.6.135)と同様の関係により,
となる.
このとき,式(16.5.36)の質量関数の形は
プレス・シェヒター理論によると線形理論の外挿によって,非線形な天体形成
を現象論的に扱うことができる.特に銀河や銀河団の形成を調べる解析的なモ
デルとして広く使われている.プレス・シェヒター理論により予言される天体
形成率は時間的な発展も含めて
体シミュレーションと比較してもよい一致を
示す.上に述べたようにプレス・シェヒター理論には理論的に正当性の明らか
ではない処方をいくつか含んでいる.このため,この理論を信頼して使うこと
のできる理由は,
体シミュレーションの結果をよく再現するというところ
にある.
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