次へ: 宇宙の諸成分ゆらぎの発展方程式
上へ: 2成分系のゆらぎの成長
前へ: 放射優勢期にホライズンに入るゆらぎ
目次
索引
次に,物質優勢期にホライズンに入ってくるゆらぎのスケールを考える.この
スケールのゆらぎは放射優勢期の成長の後,物質優勢期の成長を経験し,その
後ホライズンに入ってくる.ここでもホライズンに入ってくるゆらぎを大スケー
ルの漸近形(
)として考えてみる.初期条件は放射優勢のときに
与えられるので,その初期条件により,物質優勢時のゆらぎを表す必要がある.
これはすでに超ホライズンスケールのゆらぎの成長のところで導かれてあるの
で,それを用いればよい.だがここでは曲率ゆらぎの成長を積分することによっ
て考えてみる.
曲率ゆらぎの成長を表す式(10.6.200)はいま,非等方ストレス
,
曲率
が無視できるので,式(10.4.172)を使えば
 |
(L.3.105) |
となる.ところが,右辺括弧内の第一項は大スケールで消えるので,いまの近
似では無視でき,式(12.3.73), (12.3.79)を使えば
 |
(L.3.106) |
となる.したがって断熱ゆらぎ
の場合には放射優勢期,物質優勢期を
通じて曲率ゆらぎは一定にとどまる.したがって,式(12.3.103)の値
を物質優勢期まで保ち続ける.物質優勢期のとき,曲率
ゆらぎとポテンシャルの関係式(10.6.201)は
 |
(L.3.107) |
となるので,これを
の微分方程式として
のときに積分すると,減衰項を無視 して
 |
(L.3.108) |
となり,式(12.3.91)の
の場合を再現する.
等曲率ゆらぎの場合には曲率ゆらぎは放射優勢期に成長するが,物質優勢期に
はやはり一定にとどまることがわかる.等曲率ゆらぎの場合に上式
(12.3.106)を積分すれば,初期条件で
だから,
 |
(L.3.109) |
となる.当然,放射優勢期の極限は式(12.3.104)に一致している.物質
優勢期の式をまた式(12.3.107)に入れた微分方程式を積分することによ
り,減衰項を無視して,
 |
(L.3.110) |
を得る.
以上により,物質優勢期にホライズン内に入ってくるゆらぎは,大スケールの
極限で重力ポテンシャルとエントロピーが一定である.初期条件との間の遷移
行列として表せば,次のように表現できる:
 |
(L.3.111) |
あるいは重力ポテンシャルのかわりに曲率ゆらぎを使って表現すれば,
 |
(L.3.112) |
となる.この遷移行列はホライズンの中に入る前のスケールのゆらぎの漸近形
であり,ホライズンに入るともっと複雑な形となるが,それを求めるには数値
積分を行う必要がある.
次へ: 宇宙の諸成分ゆらぎの発展方程式
上へ: 2成分系のゆらぎの成長
前へ: 放射優勢期にホライズンに入るゆらぎ
目次
索引
Copyright©2004-2010Takahiko Matsubara, All rights reserved.
visitors,
pageviews since 2007.5.11