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放射優勢期にホライズンに入るゆらぎ

放射優勢期にホライズン内に入ってくるゆらぎを考える. 放射優勢期 $ y \ll 1$ の極限をとると,式(12.3.84), (12.3.85)は

    $\displaystyle {\cal D}^2 \Delta - {\cal D}\Delta - 2 \Delta =
\frac23 \omega^2 y^2 (y S - \Delta)$ (L.3.96)
    $\displaystyle {\cal D}^2 S - \frac14 {\cal D}S =
\frac12 \omega^2 y^2 (\Delta - y S)$ (L.3.97)

y となる.依然この式は2種類のゆらぎが結合していて解析的な取り扱いは繁雑 になるので,ここでは解析的に取り扱うためゆらぎがホライズン内に入るとき の大スケールでの漸近形 $ k \ll {\cal H}$ を考える.式(12.3.83)から,放 射優勢期では $ k^2/{\cal H}^2 \propto \omega^2 y^2$ となるから,$ \omega y$ を 小さな摂動として方程式を解けばよい.すると右辺は0次近似で無視でき,こ の場合にはやはり密度ゆらぎとエントロピーゆらぎの成長は独立である.この 式は前節の計算で放射優勢の極限を取ったものとまったく同じであり,その0 次解は

$\displaystyle {\mit\Phi}= {\mit\Phi}_0, \qquad \Delta = - \frac43 {\mit\Phi}_0 \omega^2 y^2, \qquad S = S_0$ (L.3.98)

である.

まず,断熱ゆらぎ$ S_0 = 0$ の場合を考える.この場合に上の0次解を式 (12.3.97)の右辺に代入すると,

$\displaystyle {\cal D}^2 S - \frac14 {\cal D}S = - \frac23 {\mit\Phi}_0 \omega^4 y^4$ (L.3.99)

となる.この方程式の成長解は容易に得られ,

$\displaystyle S = - \frac{{\mit\Phi}_0}{24} \omega^4 y^4$ (L.3.100)

となる.さて,密度ゆらぎが与えられれば,式 (10.5.182)により速度場$ V$ が得られる.いま放射優勢期で$ w=1/3$ で あるから,

$\displaystyle V = \frac{3}{4k^2} (\Delta' - {\cal H}\Delta) = - \frac{{\mit\Phi}_0}{k^2} \omega^2 {\cal H}y^2 = - \frac{{\mit\Phi}_0}{\sqrt{2} k} \omega y$ (L.3.101)

となる.ただし,式(12.3.83)より放射優勢期では $ k/{\cal H}= \sqrt{2}
\omega y$ となることを用いた. また式(10.6.201)により曲率ゆらぎ$ \zeta$ の表式が得られる.いま の場合,

$\displaystyle \zeta = - \frac32 {\mit\Phi}- \frac{{\mit\Phi}'}{2{\cal H}} = - \frac32 {\mit\Phi}_0$ (L.3.102)

と計算される.曲率ゆらぎが一定となることは節10.6での議論に一致 している.まとめると,放射優勢期にホライズンに入ってくるゆらぎの大スケー ルにおける漸近形が

$\displaystyle {\mit\Phi}= {\mit\Phi}_0, \quad \Delta = - \frac43 {\mit\Phi}_0 \...
... - \frac{{\mit\Phi}_0}{\sqrt{2}} \omega y, \quad \zeta = - \frac32 {\mit\Phi}_0$ (L.3.103)

という形となることが導かれた.

等曲率ゆらぎ $ {\mit\Phi}_0 = 0$ の場合も同様に求めることができる.すなわち,式 (12.3.96)の右辺に等曲率ゆらぎの0次解$ \Delta=0$ , $ S = S_0$ を代 入して同様に解けばよい.その結果,

$\displaystyle {\mit\Phi}= - \frac{S_0}{8} y, \quad \Delta = \frac{S_0}{6} \omeg...
..._0, \quad k V = \frac{S_0}{4\sqrt{2}} \omega y^2, \quad \zeta = \frac{S_0}{4} y$ (L.3.104)

が得られる.密度ゆらぎの式は当然,式(12.3.95)に一致している.ま た,この場合には密度ゆらぎがエントロピーゆらぎに比べて小さいた めに節10.6の密度ゆらぎの大きさに関する仮定が成立せず,曲率ゆら ぎは保存していない.


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