前章までに調べられた
, (
) までの宇宙は我々の持っている確立した物理理論に基づく
記述である.特に素粒子理論において確立している電弱理論(Electroweak
theory)および量子色力学(Quantum chromodynamics)を合わせた素粒子の標準
模型は実験的にほぼ完璧に成り立つことが知られている.だが,このエネルギー
スケールを越える
における宇宙がどうなっ
ているのかは,確信を持っていうことができない.このようなスケールを我々
は実験することができず,確立した物理理論が存在しないため,確実なことは
わからないのが現状である.
そのような未知のエネルギー領域であるが,素粒子論において大胆なモデルが たくさん提案されている.大胆にも超高エネルギーに外挿するそれらのモデル は,すぐには実験で検証ができそうにもないものも多い.そのようなモデルは むしろ宇宙論に適用し,その帰結を調べることにより,現在の宇宙をつくり出 すことができるかどうかを見てみる,というアプローチが考えられるであろう. その意味では極初期宇宙はそのような超高エネルギー物理理論の実験場である という見方もある.
そこで説明されるべき事柄は宇宙,また我々自身の存在の起源にかかわること である.ビッグバンモデルにもとづくわれわれの宇宙の標準モデルでまだ説明 されていないのは,さまざまなものの起源であり,,物質そのものの起源,宇 宙の構造のもとになるゆらぎの起源,さらには宇宙そのものの起源,など,と ても興味深い問題がそのなかには含まれている.
残念ながら,こういうところに言及できるほどの観測データは極めて限られて おり,あったとしても極めて間接的にならざるを得ない.その結果,理論的自 由度は極めて大きくなり,モデルを一意的に定めることができないということ も往々として起こる.そのような問題点はあるのだが,そもそも宇宙の起源論 がそれほど簡単であるとは思えず,すこしでも可能性が見えればとことん調べ てみることは必要であろう.
以下では,そのような試みのうち,代表的な問題のいくつかについて簡単に概 観することにする.
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