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宇宙の諸成分のうち,無衝突成分であるニュートリノとダークマターについて
は,重力ポテンシャル中を運動するだけであり,比較的単調な振る舞いをする.
一方,バリオンと光子はお互いに衝突するため,ゆらぎのスケー
ルに応じてホライズン内で音響振動を行う.
ここではその振る舞いを解析的に調べるため,方程式を強結合近似
(tight-coupling approximation) L3に基づいて取り扱うことを考
える.強結合近似とは,光子が電子に衝突
せずに進める距離が,考えている摂動モードの波長スケールよりも十分に小さ
いという場合の近似である.この場合には光子とバリオンは強く結合するため,
衝突項の係数
が十分に大きくなる.この係数の逆数
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(L.6.279) |
は光子が散乱される平均的な共形時間間隔であるが、強結合近似ではこれが考
えているスケールに比べて小さい.すなわち量
が十分小さい
場合を考える.
光子とバリオンの発展方程式(12.4.217)-(12.4.221),
(12.4.246), (12.4.247)を
によって書き直
せば,
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(L.6.280) |
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(L.6.281) |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_2 =
- \frac13 \tau_{\rm c}
\left[
4 {{\mit\Theta}_2}...
...heta}_3 + {\mit\Theta}_{{\rm P} 1} + {\mit\Theta}_{{\rm P} 3}
\right)
\right]$](img4200.png) |
(L.6.282) |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_l =
-\tau_{\rm c}
\left\{
{{\mit\Theta}_l}' -
\frac{...
...{\mit\Theta}_{l-1} -
(l+1){\mit\Theta}_{l+1}\right]
\right\},
\quad (l \geq 3),$](img4201.png) |
(L.6.283) |
| |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_{{\rm P} 0} =
- \frac13 \tau_{\rm c}
\left[
5 {{\mi...
...eta}_3 + 2{\mit\Theta}_{{\rm P} 1} + {\mit\Theta}_{{\rm P} 3}
\right)
\right]$](img4202.png) |
(L.6.284) |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_{{\rm P} 1}
= - \tau_{\rm c}
\left[
{{\mit\Theta}_{...
...3}
\left({\mit\Theta}_{{\rm P} 0} - 2{\mit\Theta}_{{\rm P} 2}\right)
\right],$](img4203.png) |
(L.6.285) |
| |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_{{\rm P} 2} =
- \frac13 \tau_{\rm c}
\left[
{{\mit\...
...eta}_3 - {\mit\Theta}_{{\rm P} 1} + 4{\mit\Theta}_{{\rm P} 3}
\right)
\right]$](img4204.png) |
(L.6.286) |
| |
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![$\displaystyle {\mit\Theta}_{{\rm P} l} =
- \tau_{\rm c}
\left\{
{{\mit\Theta}_...
... P} l-1} - (l+1){\mit\Theta}_{{\rm P} l+1}
\right]
\right\},
\quad (l \geq 3)$](img4205.png) |
(L.6.287) |
| |
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(L.6.288) |
| |
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(L.6.289) |
となる.ここで
を含む項はすべて右辺にくるように変形し,特
にその形を保ちつつ左辺にくる
,
,
の線形結合をあらわに解いた形になるようにした.こ
の形により,
が小さい場合に低次のオーダーから順番に解いて
いくことができる.ただし最後の式において,
 |
(L.6.290) |
である.この量は式(6.4.90)の3番目の等式(これはダークマターなど他
の成分があっても成立する)により,バリオン・光子の混合流体の音速
と次の関係にある:
 |
(L.6.291) |
まず,強結合近似の0次のオーダーの解を求めよう.式
(12.6.285)-(12.6.294)において
と置けば,
これらの方程式系は
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(L.6.292) |
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(L.6.293) |
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(L.6.294) |
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(L.6.295) |
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(L.6.296) |
となる.これら0次の式は完全な強結合の極限を表している.式
(12.6.298)は,バリオンと光子が完全に結合して速度が等しくなって
いることを表している.また,この極限では光子の偏光は存在しない.これは,
光子とバリオンの結合が強いため,バリオン静止系に対して光子の分布が等方
化してしまうことによる.偏光は非等方分布から生じるので,この場合生じる
ことができないのである.式(12.6.297), (12.6.298),
(12.6.301)から容易に
が得られる.これは式(12.5.264で見
たように,バリオン-エントロピー比
のゆらぎが時間変化しないことを意味し、
宇宙初期には空間的に一定値をとると考えられるので,解は
 |
(L.6.297) |
となる.こうして,バリオンと光子は一体となって成長する.
Footnotes
- ...
approximationL3
- P. J. E. Peebles and J. T. Yu, The
Astrophysical Journal 162, 815 (1970)
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