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スカラー型摂動計量のゲージ変換(10.3.56)-(10.3.59) におい
ては、ゲージ自由度が(空間の一点あたり)
および
の2つなの
で、4つあるスカラー摂動のうち、物理的自由度は2つである。これは、ゲー
ジ変換を受けないような線形結合を作ることにより取り出すことができる。そ
のような組合せのうち、もっとも簡単なものは次のようなものである。
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(J.4.93) |
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(J.4.94) |
もちろん、この2つのどんな線形結合も当然ゲージ不変であるから、この他に
も無限にゲージ不変な組合せを作ることが可能である。ところが、ここに上げ
た組合せは特に簡単であり、以降とても有用である。このようなゲージ不変量
の組合せの自由度は通常のゲージ場の理論においてもよく知られている。電磁
気学において、ゲージ自由度を含まない量として電場と磁場が選べるが、この
2つの線形結合もやはりゲージ自由度を含まない。ところが、電場と磁場は特
別な役割を果たしていることは明らかであろう。ここでもポテンシャル
と
を選ぶことにより、以後の方程式が特に簡単になるのである。
このゲージ不変ポテンシャルを使ってアインシュタインテンソルの摂動部分へ
のスカラー摂動の寄与から変数
を消去すれば、
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![$\displaystyle \qquad\qquad\qquad
\left.
+\; 3 {\cal H}
\left[
{\cal H}^2
- {\cal H}' + K
\right] \left( B^{\rm (S)} + {C^{\rm (S)}}' \right)
\right\}$](img3117.png) |
(J.4.95) |
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![$\displaystyle \delta {{G^{\rm (S)}}^0}_i =
- \frac{2}{a^2}
\left\{
{\cal H}\Phi...
... H}' + K
\right] \left( B^{\rm (S)} + {C^{\rm (S)}}' \right)
\right\}_{\vert i}$](img3118.png) |
(J.4.96) |
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![$\displaystyle \delta {{G^{\rm (S)}}^i}_0 =
\frac{2}{a^2}
\left\{
{\cal H}\Phi -...
...'
+ \left[
{\cal H}^2
- {\cal H}' + K
\right] {C^{\rm (S)}}'
\right\}^{\vert i}$](img3119.png) |
(J.4.97) |
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![$\displaystyle \qquad\quad
\left.\left.
- {\left(\Phi + \Psi \right)^{\vert i}}_...
...ight]
\left( B^{\rm (S)} + {C^{\rm (S)}}' \right) \delta^i_j
\right]\!\!\right]$](img3121.png) |
(J.4.98) |
と計算される。ここでも,3次元空間における共変微分の交換関係を繰り返し
使った.ここで、アインシュタインテンソルのスカラー成分はいずれもゲージ
不変でないことがわかる。そこで、アインシュタインテンソルのゲージ変換を、
式(10.3.42)-(10.3.43)と同様にして求めてみる。背景時空では
であり、また、
と書けることに注意すれば摂動部のゲー
ジ変換
は
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(J.4.99) |
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(J.4.100) |
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(J.4.101) |
となることがわかる。これらのゲージ変換はスカラー型であり、実際、テンソ
ル型やベクトル型ではこれらのアインシュタインテンソルの成分がゲージ不変
になっていることは、上で具体的に見た通りである。スカラー型摂動のゲージ
変換はこの式のように背景時空のアインシュタインテンソルで書き表される。
それに対応して、式(10.4.95), (10.4.96), (10.4.98)の
ゲージ依存項も背景時空のアインシュタインテンソルで表されることは容易に
確かめられる。
そこで、ゲージ不変なアインシュタインテンソルのスカラー摂動
を次のように構成する。
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(J.4.102) |
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(J.4.103) |
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(J.4.104) |
すると、実際に式(10.4.95)-(10.4.98)のゲージ依存項は打ち消
しあって、
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(J.4.105) |
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(J.4.106) |
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![$\displaystyle \qquad\qquad\qquad
\left.\left.
- {\left(\Phi + \Psi \right)^{\vert i}}_{\vert j}
\right]\!\!\right]$](img3135.png) |
(J.4.107) |
となる。エネルギー運動量テンソルについても次のようにゲージ不変なスカラー
摂動
を構成する。
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(J.4.108) |
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(J.4.109) |
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(J.4.110) |
そうすれば背景時空の運動方程式(10.4.64)により、結局スカラー摂動
部分の運動方程式はゲージ不変な形
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(J.4.111) |
となる。ここで、成分
は成分
と同値なものなので考
えないことにすれば、左辺は式(10.4.106)-(10.4.108)によりゲー
ジ不変ポテンシャル
のみで与えられているので、あとは右辺を式
(10.4.109)-(10.4.111)により具体的に構成すれば最終的に運動方
程式が計量の摂動についてゲージ不変な形で与えられることになる。
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