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接続解

ここで,近似的に輻射優勢期から非相対論的物質優勢期へ $ a=a_{\rm eq}$ にお いて一瞬で切り替わると考えてみよう.実際にはこれは一瞬で起こることでは ないが,ゆらぎがこの移行期の前後で十分成長するならば,ゆらぎの成長の振 る舞いに関する近似としては悪くないであろう.すると,ゆらぎの振る舞いの 記述としては,上で調べた2つの解をこの移行期で接続すればよいことになる.

まず,超ホライズンスケールを考える.輻射優勢期で減衰モードは十分減衰し ていると考えれば, $ a_{\rm eq}$ 以前での輻射のゆらぎと速度場は式 (12.2.51)-(12.2.53)で十分正確に表される.そこで,これを物 質優勢時に切り替わった後の一般的式(12.2.42)-(12.2.44)に, $ a=a_{\rm eq}$ において接続する.移行期には近似的に$ f_+ = 1$ , $ f_- =
-3/2$ であること,成長関数を $ D_\pm(a_{\rm eq}) = 1$ と規格化することに より,接続条件は

    $\displaystyle \frac{{a_{\rm eq}}^2}{{a_{\rm in}}^2} \Delta_{\rm in}
= A_+ + A_-$ (L.2.57)
    $\displaystyle \frac34 H_{\rm in}a_{\rm eq} \Delta_{\rm in}
= a_{\rm eq} H_{\rm eq}
\left(A_+ -\frac32 A_-\right)$ (L.2.58)

となる.ここで, $ {a_{\rm in}}^2 H_{\rm in} = {a_{\rm eq}}^2 H_{\rm
eq}$ を用いてこれを$ A_\pm$ について解いて物質優勢期のゆらぎの解に代入す れば,等密度時以降のゆらぎの振る舞いは
    $\displaystyle \Delta = \left( \frac{9}{10} D_+ + \frac{1}{10} D_- \right)
\Delta_{\rm eq}$ (L.2.59)
    $\displaystyle V = \frac{a H}{k^2 - 3K}
\left( \frac{9}{10}f_+ D_+
+ \frac{1}{10} f_- D_-
\right)
\Delta_{\rm eq}$ (L.2.60)
    $\displaystyle \Phi = - \frac32 \
\frac{a^3 H^2 \Omega}{k^2 - 3K}
\frac{1}{a}
\left( \frac{9}{10} D_+ + \frac{1}{10} D_- \right)
\Delta_{\rm eq}$ (L.2.61)

と求められる.ここで, $ \Delta_{\rm eq} \equiv (a_{\rm eq}/a_{\rm
in})^2 \Delta_{\rm in}$ は等密度時における密度ゆらぎである.等密度時ま でに成長してきたゆらぎのうち,10%は物質優勢期への移行時に減衰モードと なり,残りの90%が成長モードになる.また,ポテンシャルの漸近的な一定値 は等密度時をはさんで$ 9/10$ 倍になることもわかる.輻射と直接相互作用をし ないダークマターの超ホライズンスケールのゆらぎの成長はおおまかにこのよ うなものになる.

一方,サブホライズンスケールでは,振動の時間スケールが小さく,優勢物質 の移行にかかる時間スケールに比べて十分大きくないので,振動の位相もふく めたゆらぎのパターンの成長については等密度時が一瞬であるという近似が悪 くなる.したがって,上で調べたような解の接続の方法はあまり意味がない. だが,位相について平均したゆらぎの振幅についてはおおむね次のように理解 できるだろう.すなわち,輻射優勢期にゆらぎは音響振動により,成長できな い.その時期にはダークマターのゆらぎもMészáros効果により,ほとんど 成長しない.等密度時以降はジーンズスケールが急速に小さくなることによっ てサブホライズンスケールが成長できるようになる.




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