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密度が一様等方な膨張宇宙におけるボルツマン方程式を考える.この場合,分
布関数
は3次元運動量の方向によらないのでその絶対値
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(I.2.71) |
のみの関数となる.一様等方宇宙のクリストッフェル記号は式(3.1.5)
で与えられ,これによりボルツマン方程式(9.2.36)の左辺は
![$\displaystyle L[f] = \frac{E}{c^2} \frac{\partial f}{\partial t} - \frac{2}{c^2}\frac{\dot{a}}{a} E P^i \frac{\partial f}{\partial P^i}$](img2659.png) |
(I.2.72) |
となる.ただし,空間曲率はゼロとして直交座標を取れるものとし,
とおいた.上で注意したように分布関数は
の方向にはよらないから左辺第2項は
の微分で表すことがで
きる.ここで注意しなければならないことは,
と
の関係がス
ケール因子
を通じて時間に依存していることである.したがって
を
の関数とみなすと,式(9.2.72)の時間に関する偏微分の
項も変更を受ける.すなわち,独立変数をあらわに区別するために
とおくと,
 |
(I.2.73) |
となる.また,第2項の微分の部分の計算は直線的で,
 |
(I.2.74) |
となる.以後は
は
の関数であるものとして時間の偏微分は
を固定した微分であるものと了解し,上につけたハットは省略す
る.この了解の下で
![$\displaystyle L[f] = \frac{E}{c^2} \left( \frac{\partial f}{\partial t} - \frac...
...h$P$}}\vert \frac{\partial f}{\partial \vert{\mbox{\boldmath$P$}}\vert} \right)$](img2666.png) |
(I.2.75) |
でかける.さらにまた,一様等方宇宙で衝突項も
と時間のみの関
数
となるので,一様等方膨張宇宙のボルツマン方程式は
![$\displaystyle \frac{\partial f}{\partial t} - H \vert{\mbox{\boldmath$P$}}\vert \frac{\partial f}{\partial \vert{\mbox{\boldmath$P$}}\vert} = \frac{c^2}{E} C[f]$](img2668.png) |
(I.2.76) |
となるI2.ただし,
は時間依存するハッブ
ルパラメータである.
一様等方宇宙の物理量としては,ある粒子種の数密度が重要な役割を果たす.
一様等方宇宙では粒子数密度と相対論的分布関数の関係(9.1.5)は
 |
(I.2.77) |
となる.ただし,
であり,またスピ
ンなど内部自由度のみ異なる粒子は区別しない数密度を考え,その内部自由度
を
とした.上のボルツマン方程式に
をかけてから
積分を行い,
右辺第2項に部分積分を施せば,数密度の時間発展を記述する方程式
 |
(I.2.78) |
が得られる.左辺第2項は物理的体積あたりの粒子数密度が膨張にともなって
薄まっていく効果を表している.共動体積あたりの粒子数
にはそのよ
うな効果は存在しない.このことは上の式を次のように変形してみればよくわ
かる:
 |
(I.2.79) |
この式において左辺は共動体積あたりの粒子の数の変化を表すので,右辺はそ
の体積中で,反応により粒子が生成される割合を表すことになる.
Footnotes
- ...
となるI2
- 文献によってはこの式の右辺を衝突項
とする記法を用
いることもあるので注意.
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