Ubuntu 8.10 "Intrepid Ibex" インストール、追加インストール、設定、調整の個人的ノート
UbuntuとはDebianベースの Linux ディストリビューションである。豊富なパッケージによりソフト ウェアのインストールやアップデートがとても簡単。なかなか新しい安定版が 出ないDebianよりずっと速い、半年ごとの新バージョンリリース。最近注目の Linuxディストリビューションである。 8.10 は2008年10月30日リリース。
ここでは、 http://www.ubuntulinux.jp/で配布されている、 日本語デスクトップ環境にカスタマイズしたバージョンをインストールする。 面倒な日本語環境の設定がはじめからほとんど済んでいるので、 設定はかなり楽である。
Ubuntuの特徴として、rootユーザが存在しない。rootに関連する作業はす べて sudo を用いて行う。
まずは必要なデータをバックアップしておく(日頃から行っておくべき)。
Ubuntu 8.04 LTS がインストールされている場合にはネットワークごしに
Ubuntu 8.10 へアップグレードできる。手順は
http://www.ubuntulinux.jp/getubuntu/upgrading
を参照するとよい。
アップグレードに失敗した場合は以下のCDインストールの手順に従う。
新規にUbuntu 8.10 をインストールする場合にはインストールCDを作成し てインストールするのがよい。
インストールCDは一枚だけで、インストールは自動的にネットワークを介して 行われる。i386の場合は、日本語Remix版を http://www.ubuntulinux.jp/downloadから入手してインストールする。 Bittorrentを使うと速い:
% bittorrent http://cdimage.ubuntulinux.jp/releases/8.10/ubuntu-ja-8.10-desktop-i386.iso.torrent
i386以外の場合は、オリジナル版をインストールした後 http://www.ubuntulinux.jp/products/JA-Localized に従う。
ダウンロードしたisoイメージをCDに焼くには、
LinuxではgnomebakerやK3bを使うとよい。
イメージをファイルとして焼いてしまわないように注意しよう。
gnomebakerの場合、[Tools]→[Burn CD Image]
K3bの場合、[ツール]→[CD]→[CDイメージを書き込む]
あるいはMS WindowsでDeepBurner
というフリーソフトを使ってもよい。
Linuxでの他のオプションとして、CDに焼くならxcdroastがある。
マシンをインターネットに接続して、焼いたCDを入れて起動すると デスクトップが立ち上がる。左にある「インストール」のアイコンをダブ ルクリックするとインストールが始まる。 あとは指示に従えば問題ないだろう。
パーティション設定例(1):
/boot : 128MB / : 20GB /usr/local : 20GB /home : 残り全部 /swap : 実メモリ強(実メモリ256MB以下なら2倍程度)
パーティション設定例(2):
/boot : 512MB / : 5GB /usr : 40GB /usr/local : 40GB /var : 20GB /tmp : 5GB /home : 残り全部 /swap : 実メモリ強(実メモリ256MB以下なら2倍程度) /backup : セカンドディスクに割り当て(2番目の例はかなり余裕あり。この1/4ずつでも問題ない。パッケージを選べ ばもっと少なくてもよい。) /usr/local, /home, /backupはフォーマットせずそのまま残してインストール したソフトウェアやユーザのデータなどを引き継ぐ。
/boot, /, /usr, /var, /tmpのパーティションをフォーマットしてクリー ンインストールする。アップグレードインストールはクリーンインストー ルに比べて安定性が低くなることがある。
まず、
[アプリケーション]→[端末]
を開き、
% sudo gedit /etc/apt/sources.listにより、gedit で設定ファイル /etc/apt/sources.list を編集。
% sudo apt-get update % sudo apt-get upgradeとする。
[システム]→[システム管理]→[日本語版セットアップへルパ]
を起動して指示に従えば、
日本語の使用に適したソフトウェアや環境などが整えられる。
日本語版のThunderbird, Emacs, TeXシステムとビューア、
フォントなどがここで導入できる。
すべてインストールするまでしばらく時間がかかる。
TeXでjsarticle, jsbookなどのokumura-clsfilesを使う場合、 そのままでは見栄えのしない東風代替フォントとなってしまう。 そこで /etc/texmf/vfontmap.d/20ptex-jisfonts.map を編集し
### For ptex-jisfonts @Mincho Roman|Mincho@ rml-jis JIS-H @Gothic SansSerif|Gothic@ gbm-jis JIS-Hと書き換えた後、
% sudo update-vfontmapとする。
追加で有用なパッケージを導入する.例:
% sudo apt-get install feynmf texlive-fonts-extra texlive-music % sudo apt-get install texlive-science texlive-publishers
~/.emacs に次の内容を付け加える。
;=================================== ; Anthy or Prime ;=================================== (set-input-method "japanese-anthy")
Emacs上でAnthy-elの使い方:
q: かな漢字 ←→ カタカナ
l: かな漢字orカタカナ → 半角英数字
L: かな漢字orカタカナ → 全角英数字
C-j: 半角or全角英数字 → かな漢字
C-q: 半角カナ ←→かな漢字
シェルtcshをインストールする:
% sudo apt-get install tcsh
[システム]→[システム管理]→[ユーザとグループ]
によってユーザのシェルを bash から tcsh へ変更。
設定ファイル例:
umask 022 limit coredumpsize 0 # aliases are set in .alias if -f ~/.alias source ~/.alias endif set path = (. ~/bin $path) set manpath = ("man -w") set prompt="%m:%~ %h %% " setenv EDITOR emacs setenv LANG ja_JP.UTF-8 setenv TEXINPUTS .:~/tex/macros: ...
このときエイリアスは ~/.alias に書く。
# aliases alias h history alias rm 'rm -i' alias mv 'mv -i' alias cp 'cp -i' alias dir 'ls -al' alias ls 'ls -F' ...
ここまでの設定でデフォルトの日本語フォントはIPAフォントとなり、 このままでも十分使えるが、 デスクトップやブラウザのゴシック体の「かな」をもう少しセンスの良い 字体にするには、 M+フォントを使う。このフォントは「かな」に特化されたものなので、 IPAゴシックフォントの漢字と合成して使う。 このためにまず、Fontforge がインストールされていなければ入れておく:
% sudo apt-get install fontforgeそして、M+フォントのダウンロードページ
% tar xvfz mplus-TESTFLIGHT-018.tar.gz % cd mplus-TESTFLIGHT-018 % sudo cp /usr/share/fonts/truetype/ipafont/ipag.ttf ipag.ttf % sudo fontforge -script m++ipa.pe % sudo mkdir /usr/share/fonts/truetype/mplus % sudo mv M*IPAG.ttf /usr/share/fonts/truetype/mplus/. % sudo fc-cache -f -v /usr/share/fonts/truetype/mplus
デスクトップのフォントは、
[システム]→[設定]→[外観の設定]
の「フォント」タブで設定できるので、
M+2P+IPAG(プロポーショナル)、
M+1M+IPAG(固定幅)などを選んでおくとよい。
FireFoxのフォントも
[編集]→[設定]
で設定する。
% sudo apt-get install emacs-shapshot emacs-shapshot-el
上でM+フォントをインストールした後, ~/.emacs に次の内容を付け加える。
;=================================== ; Emacs23 ;=================================== (if (and (eq window-system 'x) (>= emacs-major-version 23)) (progn (set-default-font "Bitstream Vera Sans Mono-9") (set-fontset-font "fontset-default" 'japanese-jisx0208 '("M+1M+IPAG" . "unicode-bmp"))))
% sudo apt-get install gcc g++ gfortran
外からssh接続するため、SSHをインストール。
% sudo apt-get install ssh
Emacsの中だけでTeX文書の作成、コンパイル、プレビューができるようになる。
% sudo apt-get install auctex
~/.emacs の最後に
;=================================== ; AUCTeX ;=================================== (require 'tex-site) (setq TeX-default-mode 'japanese-latex-mode) (setq japanese-TeX-command-default "pTeX") (setq japanese-LaTeX-command-default "pLaTeX") (setq japanese-LaTeX-default-style "jsarticle") (setq TeX-file-extensions '("tex" "sty" "cls" "ltx" "texi" "texinfo" "dtx")) (setq kinsoku-limit 10) (setq LaTeX-indent-level 4) (setq TeX-output-view-style '(("^dvi$" "." "/usr/bin/xdvi %d")))を付け加える。
データのプロットや、図の作成をするためのソフトウェアをインストールする。
2次元プロットツールとして Grace、および2,3次元プロットツールとして PLplot、 PGPlot、 をインストール:
% sudo apt-get install grace plplot-bin pgplot5Graceは"xmgrace"で起動。PLplotは C や Fortran などから呼び出して使う。
ドローソフトとしてはinkscape, xfigをインストール:
% sudo apt-get install inkscape xfig xfig-libs pstoedit
数式処理ソフトMaximaをインストールする。
% sudo apt-get install texmacs maxima maxima-doc maxima-emacs maxima-share xmaxima
TeXmacsは本来TeXのグラフィカルな編集ソフトだが、maximaのグラフィカルフ ロントエンドとしても使える.texmacsを起動し, 真ん中のツールバーの一番右にあるディスプレイのアイコンをクリックして maximaを選べばTeXで綺麗に整形された出力が得られる.
以下、公開しないで,ローカルにウェブサーバを使えるようにする設定。
まずapache httpサーバをインストール:
% sudo apt-get install apache2http://localhost/ により、インストールを確認。
パーミッション設定と,www用のファイル置場:
% chmod 701 ~ % mkdir -m 705 ~/public_htmlまずは外部からのアクセスを禁止するため、 設定ファイル /etc/apache2/ports.conf の二行目を次のように書き換える:
Listen 127.0.0.1:80これは外部からのアクセスを禁止するために重要。 さらに、 /etc/apache2/mods-available/ 以下の設定ファイルを編集する。 (サーチして対応する行を探して編集):
AddHandler cgi-script .cgiuserdir.conf
UserDir public_html #UserDir disabled root <Directory /home/*/public_html> AllowOverride FileInfo AuthConfig Limit Options MultiViews Indexes FollowSymLinks Includes ExecCGI </Directory>そして、次のようにリンクを張る:
% cd /etc/apache2/mods-enabled % sudo ln -s ../mods-available/userdir.load userdir.load % sudo ln -s ../mods-available/userdir.conf userdir.conf
apache2 を再起動:
% sudo /etc/init.d/apache2 restartこれでローカルに ~/public_html/ 以下にあるファイルが http://localhost/~[ユーザ名]/ でアクセスできるようになり,cgiも動かせる.
403 Forbiddenになってしまう場合は、パーミッションを確認。
(注)ports.confをそのままにしておくと公開サーバとなるが、安易に公 開するべきではない。以前学生が大学に置いた自分のパソコンで勝手にwebサー バを公開し、クラックされて部局全体のネットワークにダメージを与え、大問 題になったことがある。
ペンギンがメール通知をしてくれる。昔のxbiffが洗練されたような感じ。
% sudo apt-get install gnubiff"gnubiff"で自分のメールサーバに応じて設定。
パネルに追加することができる。あるいはGTKアプリとして使うなら
[システム]→[設定]→[セッション]
の[自動起動するプログラム]タブを選んで
gnubiff -nというコマンドを追加する。
% sudo apt-get install mozilla-mplayer ffmpeg
ディレクトリやファイルのディスク使用量をグラフィカルに表示させるプ ログラム。ディスクを整理したいときに便利。du > xdu を洗練したようなもの。
% sudo apt-get install xdiskusage
nVidiaビデオカードを使っている場合、OpenGLを使えるドライバを設定し ておく。
% sudo apt-get install nvidia-glxとしてから /etc/X11/xorg.conf を編集し、"nv" を "nvidia"と書き換える。 次に、
% sudo nvidia-glx-config enableとしてからシステムを再起動すると有効になる。
ATIビデオカードを使っている場合は
http://wiki.cchtml.com/index.php/Ubuntu_Intrepid_Installation_Guide
に従う.
% sudo apt-get install gdesklets gdesklets-data
使い方:まず、
% gdesklets startでプログラムを常駐させる。
ツールバーにアイコンが表れるので、左クリックで設定、管理する。
Displays & Sensorsは
http://gdesklets.gnomedesktop.org/
で探す。
[アプリケーション]→[アクセサリ]→[gDesklets]
を起動する。
ホームページからのドラッグ & ドロップで簡単にインストールできる。
ls を打ち間違えたときに心を落ち着けるためのプログ4ラム。 ( http://www.tkl.iis.u-tokyo.ac.jp/~toyoda/)
% sudo apt-get install sl
カーネルがアップデートされると、古いカーネルが残される。あまり放っ ておくとディスクスペースが圧迫される。そこで古いカーネルを削除するには次 のようにする。まず、
% dpkg -l | grep linux-imageにより、インストールされているカーネルが表示されるので、もう使わないカー ネルを確認して次のように削除する:
% sudo apt-get remove --purge linux-image-2.6.15-23-386現在使っているカーネルを削除してはならない。
Emacs で日本語を読むためには ~/.emacs に
;=================================== ; Japanese Language ;=================================== (set-language-environment "japanese")を付け加える。
Emacs の日本語入力で Anthy-el を使うには、
;=================================== ; Anthy ;=================================== (set-input-method "japanese-anthy")を付け加える。Emacs上でAnthy-elの起動と停止は Ctl-\ で行う。
Emacs でファイル一覧を表示する dired は初期設定では ls コマンドを使うが、 出力に日本語が含まれていると文字化けしてしまう。これを避けるには、 ~/.emacs に
;=================================== ; Dired ;=================================== (require 'ls-lisp) (let (current-load-list) (defadvice insert-directory (around reset-locale activate compile) (let ((system-time-locale "C")) ad-do-it)))を付け加える。
またEmacsでマウスのホイールによりスクロールできるようにするには、 ~/.emacs に
;=================================== ; Wheel mouse ;=================================== ;(global-set-key [mouse-4] 'scroll-down) ;(global-set-key [mouse-5] 'scroll-up) (progn (defun scroll-up-half () "Scroll up half a page." (interactive) (scroll-up (/ (window-height) 2)) ) (defun scroll-down-half () "Scroll down half a page." (interactive) (scroll-down (/ (window-height) 2)) ) (global-set-key [(mouse-5)] 'scroll-up-half) (global-set-key [(mouse-4)] 'scroll-down-half) )を加える。この設定では一度のスクロールで半ページ進む。 一度に1ページスクロールさせるためにははじめの2行のコメントをはずし、 下の部分をすべてコメントアウトする。
デフォルトのメールリーダ Evolution は文字コードの面で不都合がある. そこで,Thunderbirdのインストール をしてこれを使う.Gnome ツールバーのメールアイコンで起動するプログラム を Thunderbird に変更しておく.アイコンの上で右クリックで設定できる.
メールでは日本語文字コードをJISにするのがルールである. デフォルトの Evolution は文字コードを UTF-8 ですべて扱おうとするので, 都合が悪い.相手が全員UTF-8を扱えるメールリーダを使うなら問題ないが, 現実はそうではないので.相手先で文字化けしてしまう. どうしても Evolution を使うのであれば,文字コードの設定をする. Evolution を起動して,
[編集]→[設定]→[コンポーザの設定]→[全般]
によりデフォルトの文字セットを「日本語(ISO-2022-JP)」に変更。また、
[編集]→[設定]→[メールの設定]→[全般]
も同様に変更.ただし,メールヘッダをUTF-8からJISに変える ことはできないので,サブジェクト欄に日本語を入れると相手先で文字化けす ることが多い.この特性は Evolution 作者の方針らしく,どうしようもな い.Thunderbird へ移行したほうがよい.
パスワードなしでSSH接続できるようにするためには公開鍵を設定しておく:
% ssh-keygen -t dsaにより生成される".ssh/id_dsa.pub"の中身を、 接続しようとするhost側のファイル".ssh/authorized_keys2"の中に追加する。
さらに、host側のファイル".ssh/known_hosts"にある、 対応するclientマシンの古い情報が書かれている行を削除しておく。
GnomeのキーバインドをEmacs風にする。
% gconf-editorで設定エディタを起動し, desktop → gnome → interface を開いて gtk_key_theme の値を Emacs にする。
Nautilusのデフォルト設定ではフォルダを開くたびに新しいウィンドウが 立ち上がりうっとうしい。これを解消するには次の設定をする。
% gconf-editorで設定エディタを起動し, apps → nautilus → preference を開いて always_use_browser の値を オンにする。
アプリケーションのツールバーが間のびしているのでスタイルを変更:
[システム]→[設定]→[メニューとツールバー]
を選んで、ツールバーのスタイルを[アイコンの横にラベル]に変更する。
FireFoxのデザインを変えるには、 https://update.mozilla.org/ からテーマを選んで同じようにインストールする。
NetscapeあるいはInternet Explorerしか許さない悲惨なサイトが存在するので、 ブラウザを詐称する拡張ツールをFireFoxにインストールする。 FireFoxを開き、 http://www.chrispederick.com/work/firefox/useragentswitcher/ からたどれるUser Agent Switcher Extensionのxpiファイルをクリックして インストールする。このサイトからインストールするのが初めての場合、 メッセージバーに表れる「設定を変更...」ボタンにより許可してから 再びクリックする。
そのほかのソフトウェアを手動で/usr/local以下にインストールする。 一度インストールして別パーティションで引き継いでおけばOSインストール時 には必要ない。
[以下は最大限に危険なコマンドなので、必要以外に試してはならない]
機密書類の入っていたパソコンを譲渡するときなど、ディスクのデータを 完全に消去したいときがある.このときファイルの消去をしただけではデータ の復旧が可能で、たとえディスクをフォーマットし直したとしても、 アナログ的にディスクの以前の状態を読み取る方法が存在する。 このため、ディスクを何度もランダムな値で上書きすることで、より完全な削 除をするshred というコマンドがある:
# shred -n 2 -v /dev/hdaここで、"-n 2"の数字は何回上書きするかを指定し、値が大きいほど安全だが、 時間もかかる.IDEディスクでは、10Gの上書きに一回あたり1時間程度かかった. (廃棄するなら、ディスクを物理的に破壊するのが一番安全だが。)
ubuntu guide: Ubuntu 8.10 (Intrepid Ibex) | 日本語版
2ch Linux Beginners: Ubuntu FAQ