以前の標準的な考え方では、宇宙の膨張はだんだん遅くなっていると思われて いました。ところが、いくつもの最新の観測を総合すると、実は現在の宇宙の 膨張は加速しているのではないかと思われはじめています。
宇宙が加速するためには空間を反発させる力が必要です。重力は引力なので、 これは普通にはありえないですね。最近の新しい標準的見方では、この反発力 として宇宙定数というものが考えられています。この定数は、昔、アインシュ タインが宇宙を静止させるために導入したものですが、結局宇宙が膨張してい ることがわかって必要なくなりました。ところが、その定数が厳密にゼロであ るかどうかは意見の分れるところでした。極めて小さい正の宇宙定数の値は、 宇宙の膨張を加速させ、最新の観測と矛盾していないので、現在有力な考え方 になっています。
このような宇宙では、ビッグバンによる爆発後しばらくは膨張の速さが減速し ていますが、あるときから加速しはじめ、その後は際限なくどんどん加速して いきます。この場合、現在の宇宙はちょうど加速をしはじめた時期にあたりま す。いずれ遠くの銀河は光速を越えて我々からは見えなくなっていき、近くの 銀河以外なにも見えなくなってしまうでしょう。
宇宙定数は加速宇宙を説明するひとつの説ですが、そのほかにも仮に圧力が負 になる物質を考えてみるとやはり宇宙を膨張させることが知られています.い ずれの場合も宇宙にほぼ一様な未知のエネルギーが広がっていることから,そ のようなエネルギーのことをダークエネルギーと呼びます.