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観測的宇宙論

2004年度大学院前期木曜2時限目、A4南教室

宇宙はどのように始まり、どのように進化し、そしてどのように進化していくのか? この複雑怪奇なる宇宙がなぜ存在しなければならないのか? これらは人類の究極の疑問であり続けてきたし、これからもずっとそうであろう。宇宙論の究極の目的は、これらの疑問を科学の方法によって追求することにある。

近年の目覚ましい観測技術の進歩によって、宇宙論は観測により検証のできる実証科学としての側面を急速に進展させてきている。この進展によって、我々の宇宙の驚くべき素姓が浮彫りになってきた。と同時に、新たなる謎も生まれてきている。特に、未知の物質ダークマターや、未知のエネルギー形態ダークエネルギーの存在がほぼ確実になってきたことは、我々のまわりにあるような物質とは全く異なるものが宇宙全体を支配していることを意味している.

本講義では、現代宇宙論の基本的な方法論、考え方を説明することを第一の目的とする。基礎をていねいに取り扱うので、講義を注意深く聞けば各自がほぼすべての方程式を第一原理から導くことができる。さらに、これらの考え方がどのように観測によって検証されるかを見ながら、最新の宇宙論のトピックについても触れる。

はじめに、一般相対性理論による宇宙の記述を、基本的なところから多少詳しく説明する。次に、これを基礎としたビッグバン宇宙モデルを用いて、理論的に確立している宇宙の熱的進化の描像を説明する。さらに、インフレーションモデルなど、まだ理論的には確立していない極限的な宇宙初期のモデルについて概説する。次に、極めて一様でスムーズな初期の宇宙の状態から、どのようにして現在の非一様でリッチな構造を持つ宇宙へと進化してきたのかを、標準的な重力不安定性理論に基づいて説明する。最後に、どのような宇宙論的な観測により何が明らかになっているのかをまとめる。

本講義は主に物理学専攻修士課程1年生向けであるが,一般相対論を習得した学部生や,他専攻,他研究科の学生の聴講も歓迎する.主に板書によるアナログテクノロジーを基本とするが、以下の補助資料、リンクも興味に応じて参照のこと。

成績評価は講義内容に沿ったレポート問題を課すことにより行う。

連絡事項

講義オリジナルテキスト

講義ノート+補足ノート(一部未完成)

講義よりも若干詳しい内容を含むテキスト

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理論系向きの内容を含んだ拡張されたテキスト

講義範囲外.集中講義ノートその他などをまとめる予定だが,まだだいぶ未完成

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他の情報

進行状況

第1回 (4/) イントロダクション:宇宙の構造と宇宙論
第2回 (/) ロバートソン・ウォーカー計量:その1
第3回 (/) ロバートソン・ウォーカー計量:その2
第4回 (/) フリードマン・ルメートルモデル:その1
第5回 (/) フリードマン・ルメートルモデル:その2
第6回 (/) ビッグバン宇宙モデル:その1
第7回 (/) ビッグバン宇宙モデル:その2
第8回 (/) 極初期宇宙:その1
第9回 (/) 極初期宇宙:その2
第10回 (/) 構造の形成:その1
第11回 (/) 構造の形成:その2
第12回 (/) 構造の形成:その3
第13回 (/) 宇宙論と観測:その1
第14回 (/) 宇宙論と観測:その2
第15回 (/) 最終回:正しい宇宙論、怪しい宇宙論、そのはざま

Takahiko Matsubara
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