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某航空会社

これまでに10回以上アメリカと日本を往復しているが、振り返ってみる と飛行機の行き帰りにおいて何のトラブルもなく往復できたのは数えるぐらい しかない。

最初のトラブルは完全に自分の責任であった。それは2度目にアメリカへ行 くときであった。成田からミネアポリス経由でカンザスへ行くはずであった。 ところがなんと、いきなり成田から出発する飛行機に乗り遅れたのである。15 時台に出発の飛行機であったのだが、5時台と間違えるというものすごいミス であった。成田にちょっと早く着きすぎたかな、と思っていたら、もう、出発 寸前で、手続きの時間を考えたらもう、間に合わなかったのであった。海外旅 行の経験の少なかった頃であり、大パニックであった。変更不可能なディスカ ウントチケットであったから、この旅行は中止かもしれないと思ったが、航空 会社のスタッフの親切により、入力ミスということにして席を取り直してくれ たのであった。予定では、その日のうちにカンザスに着き、次の日の朝から研 究会に出席するはずだったが、同じ便は2日後までないということで、乗り継 ぎを問わず少しでも早く着けるルートを苦労して探してくれたのである。これ により、次の日の朝にはカンザスに着けることになったのである。

このルートというのはものすごいものであった。乗り遅れなければミネア ポリスでの一回の乗り継ぎでカンザス入りできたのだが、代わりのルートは乗 り継ぎを繰り返すものであった。最初の乗り継ぎ地はホノルルであった。期せ ずしてハワイに行ってしまったのである。乗り継ぎの待ち合わせ時間が3時間 ほどあり、空港から出て、つかの間の南国気分を味わったのであった。次の乗 り継ぎ地はシアトルであった。ハワイ帰りの浮かれたアメリカ人に囲まれてシ アトル空港までの旅を楽しんだ。日付変更線をまたいでいるので日付は変わっ ていないが、成田から連続してみると、シアトルに来るまでに日が二度暮れ、 もう夜になっていた。このころになると、トラブルを楽しんでいて、シアトル の夜景が綺麗で印象深かった。シアトルからはなぜかカンザスを東へ越えてし まい、ミシガン州のデトロイトまで行ってしまった。ここまで来ると、もう疲 れてきた。デトロイトからは今度はなぜかずっとカンザスよりも南に下り、テ ネシー州のメンフィスまで行った。空港から出てはいないが、いつか観光に来 てみたいと思わせる雰囲気の場所であった。そこからようやくカンザス空港へ 着いたのは、成田からかれこれ30時間は経っていたが、このときにはもうナ チュラルハイの状態で、そのまま研究会に行き、午前のセッションをすこし欠 席しただけで済んだのであった。

次のトラブルはヨーロッパからアメリカ入りした時である。その時は荷物 を最小限にして、機内持ち込み可能なスーツケースを持って、手荷物として持 ち歩けるようにしたのであるが、重量制限に引っかかってしまった。日本から ヨーロッパまでは大丈夫だったのだが、フランクフルトの空港でいやいや預け させられた。アメリカまでの便がすこし遅れ、ニューヨークで乗り継ぎがあっ たのだが、乗り継ぎの時間がほとんどなく、ぎりぎり乗り継いだ。いやな予感 がしたのだが、目的地であるワシントンDCでは案の定、預けた荷物が待てど暮 らせど出てこなかった。ロストしたのである。幸い、その日の夜中のうちに滞 在先のホテルに届いたが、なぜか荷物だけシカゴへ行って帰ってきたというこ とが判明したのである。日本に帰ってくるときにもロストしたことがある。他 の人がどんどん荷物を見つけて帰っていくのに、自分の荷物が出てこないのは 寂しいものである。同じ便で帰ってきた日本人は100人以上いるのに、なぜ私 の荷物だけロストするのであろうか? しかし、ロストした場合、空港から重 い荷物を運ばなくていいし、食事券ぐらいはくれるので、その日必要なものは 手荷物で持っていれば、かえって悪くはなかったりする。

飛行機のディレイは数限りないが、中でもひどかったのは、日本からの便 が9 時間遅れたことがある。アメリカでの乗り継ぎ便にはとうてい間に合わず、 なんとか目的地のペンシルバニアの空港に着いたのは深夜であった。そんな時 間に空港から放り出されても普通困るであろう。そのときはレンタカーを予約 していて、オフィスがぎりぎり開いていて助かったが、もう少し遅かったら、 どうしようもない。本来その日は早めに着いてゆっくりと過すはずだったのだ が、ずいぶん疲れた。

ディレイどころか、直前になって便がキャンセルになってしまうというの も2 回ある。キャンセルというのは普通こちらの都合でするものであろう。航 空会社の都合で何度も便がキャンセルになるとは何ごとであろうか。アメリカ から日本へ帰るときに、アメリカの国内での乗り継ぎ便がキャンセルになって しまった。その結果、その日のうちには日本に帰れなくなってしまい、結局次 の日の同じ便で帰ることになる。航空会社でホテルや食事のバウチェをくれる が、これでアルコールを頼んではいけないことになっているので、ヤケ酒を飲 むこともできない。これがあるので、日本に着く日の翌日に予定を入れるのは 危険である。

この前は、空港から飛行機へわたしてある歩道がいつまでも飛行機から離 れなくて1時間以上出発できないというディレイもあった。その歩道を操作す るはずの人が家へ帰ってしまったとか。なんじゃそりゃ。

これらのトラブルはほぼすべて、とある同一の航空会社を使った時のもの であった。できればこの航空会社は使いたくないのだが、いま住んでいるとこ ろからの他の航空会社の便は路線としてあまりに不便なので、しかたなく使い 続けている。その結果、マイルはたまりまくり、エリート会員になってしまい、 今年は一年中、アメリカ国内の路線に乗れば、ファーストクラスへ自動アップ グレードなのである。しかたないので次のトラブルは何だろうと楽しみながら 乗っているのであった。

2002年3月14日


Takahiko Matsubara
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