銀河分布の相関と固有モード解析による宇宙論

松原隆彦 (名古屋大学)

銀河などのRedshift Surveyにおいては現在、宇宙論研究の有力な観測的手段
として、これまでにないスケールのプロジェクトが次々に実行に移されつつあ
る。それは宇宙がどのようにして生まれたかという人類の究極的な疑問につい
て、より直接的な観測に基づいて実証的に調べることを可能にするものである。
大規模なサーベイによって得られるデータはこれまでに前例がなく巨大であり、
また、遠宇宙の広範囲なデータを含んだ、宝の宝庫である。このような巨大な
データによる宇宙論の研究はつい最近までなされたことがなく、ここから効率
的かつ最大限に宇宙論的情報を引き出すことは自明ではない。このことについ
て我々は現在、宇宙論としての物理的な基礎を持つ解析手法の開発、およびそ
の理論的基礎の確立を目指して研究している。今回は、これまでに得られた基
本的な空間相関解析についての理論的進展、および、その応用として固有モー
ドに基づく新しい方法における進展について述べる。