「宇宙の構造、進化、起源」

松原隆彦

宇宙の大規模な構造の観測は現在驚くべき進展を見せています.その結果,我々
の宇宙はこれまで予想もできなかったような意外な面を持っていることが次々
と明らかになってきています.特に、宇宙に存在する成分のほとんどは我々が
よく知っている通常の物質ではないこと、そして、宇宙は未知の物質である
「ダークマター」や未知のエネルギーである「ダークエネルギー」に支配され
ていることがほぼ決定的になってきました.最近ではこれらダーク成分の量が
十分定量的なレベルで明らかにされ,宇宙論のみならず基礎物理学の各分野に
インパクトをもたらしています.本講演では最新の観測に基づいた宇宙の構造,
そしてそこから明らかになった宇宙の時間的進化,また予想される宇宙の未来
の姿,さらには宇宙の起源に迫る研究などをわかりやすくかみくだいて紹介し
ます.

略歴

1990: 京都大学 理学部 卒(学士・理学)
1992: 広島大学大学院 理学研究科 修士課程修了(修士・理学)
1995: 広島大学大学院 理学研究科 博士課程修了(博士・理学)
1995: 日本学術振興会・特別研究員 (東京大学)
1996: 東京大学大学院 理学系研究科・助手
1998: 米国ジョンズホプキンス大学・研究員
2000: 名古屋大学大学院 理学研究科・助教授(現在に至る)
2004: 名古屋大学 高等研究院・流動教員(現在に至る)

受賞

1997: 第13回井上研究奨励賞(井上科学振興財団)