「暗黒エネルギーの測定法」

名古屋大学・松原隆彦

宇宙論や場の理論において、それらの理論ができた当初のアインシュタインや
パウリの時代から宇宙項の有無は理論における根本的な問題と認識されていま
した。それ以来、理論的には指導原理の欠如から、実験的にはその効果のあま
りの小ささから、その理解は遅々として進みませんでした。しかしこの10年あ
まりの観測的宇宙論の飛躍的な進展によって、宇宙項のような効果が宇宙に確
かにあることはゆるぎない事実となりました。今後は単なる宇宙項のようなパ
ラメータとしての値だけでなく、暗黒エネルギーとしてのより詳しい性質を調
べてその正体へ迫りゆくことが可能になります。本セミナーでは、暗黒エネル
ギーを観測的に測るための原理や、観測によりどのようなことを明らかにでき
るのか、あるいはできないのか、などをまとめてお話しする予定です。