「大規模構造における統合摂動論とバイアス効果」

松原隆彦

現在、大規模な銀河サーベイ観測などが精力的に行われていて、宇宙の3次元
構造である大規模構造によって宇宙論を制限する研究が大きく進みつつある。
宇宙構造の解析においては、非線形構造形成や赤方偏移空間変形、バイアスな
どの微妙な問題が存在し、理論的に明らかにすべき重要な課題も多く残されて
いる。これらの問題にアプローチする一般的な手法として、以前から「統合摂
動論」という基礎的枠組みを発展させており、2014年にも本コロキウムにおい
てその概要をお話した。今回は準非線形領域におけるバイアス効果の取扱いに
関する比較的最近の進展を含めてお話したい。