電磁気学特論
2008年度3年生後期水曜2時限目
Maxwell方程式をもとにして、真空中における電磁波の伝搬、放射、および散
乱に関する基礎事項を講義する。さらに特殊相対性理論および変分原理による
電磁場の記述を通して自然界に存在する対称性に触れ、物理学の底辺に横たわ
る調和の世界を垣間見る。
連絡事項
講義ノートなど
講義内容
- 1. Maxwell方程式と電磁波
- 1.1 Maxwell方程式
- 1.2 電磁ポテンシャルとゲージ変換
- 1.3 真空中の電磁波
- 2. 電磁波の放射
- 2.1 遅延ポテンシャル
- 2.2 多重極放射
- 2.3 放射のスペクトル分布
- 2.4 チェレンコフ放射
- 2.5 運動する電荷による放射
- 2.6 シンクロトロン放射
- 3. 電磁波の散乱
- 3.1 トムソン散乱
- 3.2 束縛電荷による散乱
- 3.3 誘電体球による散乱
- 3.4 青空、夕焼け、エディントン限界
- 4. 電磁場と特殊相対性理論
- 4.1 相対性原理
- 4.2 共変形式のMaxwell方程式
- 5. 電磁場と変分原理
- 5.1 電磁場の作用積分
- 5.2 対称性と保存量
注)本講義では基本的にGauss単位系を用いるが、最初にSI単位系との間の
変換規則を与え、いつでもSI単位系の表式を得られるように配慮する。はじめ
からSI単位系を使わない理由は、本講義の内容をSI単位系で記述するといたる
所に無用な煩わしい因子が出てきてしまうからである。このため、この分野の
教科書も多くの場合Gauss単位系で書かれている。国際標準とされているSI単
位系は実用の面で便利に作られてはいるが、まさにそのために構成が恣意的で
あり、物理的にはGauss単位系などの方がより自然なのである(例えば、SIの
基本単位であるアンペアの定義を確認してみよ)。このため物理の分野ではSI
以外の単位系が用いられることも多いので、物理の学習者は他の単位系に慣れ
ておくことも必要である。
参考図書:
各回のメモ
- 第13回 (1/14)
- 講義内容:
- 配布:レポート問題、講義ノート23ページまで。[30部用意]
-
- 第12回 (1/14)
- 講義内容:
- 配布:レポート問題、講義ノート19ページまで。[25部]
-
- 第11回 (12/17)
- 講義内容:誘電体による散乱、青空・夕焼け・エディントン限界
- 配布:レポート問題、講義ノート15ページまで。[33部]
- 散乱問題終わり。
- 第10回 (12/10)
- 講義内容:トムソン散乱、束縛電荷による散乱
- 配布:講義ノート13ページまで。[31部]
- 散乱問題に入った.
- 第9回 (12/3)
- 講義内容:放射のスペクトル表現の続きとチェレンコフ放射
- 配布:講義ノート11ページまで。[30部]
- 結構計算を書くのが大変になってきた。この辺は特に手が疲れる。きっ
とノートを取る方も同じだろう。
- 第8回 (11/26)
- 講義内容:放射のスペクトル表現
- 配布:なし
- スペクトルのところを計算した。このへんは抽象的だろうか。
- 第7回 (11/19)
- 講義内容:電気双極子放射、磁気双極子放射、電気4極子放射
- 配布:講義ノート9ページまで。[40部]
- 多重極子放射の一般論と例。出席率がすこし回復したようだ。
- 第6回 (11/12)
- 講義内容:
- 配布:なし
- 一般的な式の導出と、非相対論的点電荷からの放射、ラーモアの公式の
導出まで説明した。
偏微分は独立変数の認識を正しくしないと間違えやすいので、
詳しく計算を説明した。
- 第5回 (11/5)
- 講義内容:遅延ポテンシャル
- 配布:講義ノート24-25ページ(ベクトル公式について)[35部]
- グリーン関数を求め、その物理的解釈を述べた。遅延、先進グリーン関
数と時間反転対称性の話。
- 第4回 (10/22)
- 講義内容:直線偏光と円偏光、波動方程式とグリーン関数
- 配布:講義ノート7ページまで。[38部]
- 偏光板のデモ、3枚の偏光板と量子論の関係の話が長くなり、あまり進
まなかった。
- 第3回 (10/15)
- 講義内容:波動方程式、放射ゲージ、真空の平面波解
- 配布:なし
- 第3回終了。ゲージ変換のあたりすこし話が込み入ってきたので、講義
時間だけで理解するのは難しいだろう。なるべく意味を説明するようにした
が、復習してくれることを願う。
- 第2回 (10/8)
- 講義内容:電磁ポテンシャル、ゲージ変換、ローレンツ条件
- 配布:講義ノート5ページまで。[48部]
- 第2回終了。南部、小林・益川ノーベル物理学賞の関連の話を15分ほど。
電磁ポテンシャルによりマックスウェル方程式の書き換え、
ゲージ変換の説明。
- 第1回 (10/1)
- 講義内容:はじめに、Maxwell方程式、Gauss単位系
- 配布:講義ノート表紙、目次、3ページまで。[67部]
- 第一回終了。C5講義室がいっぱいになる。宇宙関連研究室の話など。
マックスウェル方程式の復習。ガウス単位系を使う理由。
Takahiko Matsubara
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