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表面輝度

広がった天体の像において,単位立体角あたりに検出される光のエネルギー量 $ B$ を表面輝度 (surface brightness) という.天体の像におい て,見かけの角度 $ \Delta\theta$ を直径とする微小な円をとり,対応する天体 の部分の視線に垂直な方向の実際の直径を$ l$ とする.すると,この部分のボ ロメトリックフラックスについて,

$\displaystyle B = \frac{F_{\rm bol}}{\pi (\Delta\theta/2)^2} = \frac{L_{\rm bol}}{\pi^2 l^2} (1 + z)^{-4}$ (B.8.64)

となる.ここで特徴的なことは,表面輝度は座標距離$ r$ にはよらないことで ある.まず,赤方偏移の小さい場合には,表面輝度は距離によらない.遠くの 天体は全体の明るさは暗くなるが,その分小さく見えるので輝度にすれば変化 がない.一方,赤方偏移が大きいところでは $ (1+z)^{-4}$ の依存性を持つ.天 体に固有の量 $ L_{\rm bol}$ , $ l$ を知ることのできるものがあれば,この$ z$ 依存性は膨張宇宙が必ず満たさなければならないものである.したがって,こ れは膨張宇宙論そのものテストになる.




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