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小話

(オリジナルではありません。著作権は不明)

キリストが大学に職を得られない理由

1.出版済みの論文が一つしかない。
2.しかもそれはヘブライ語である。
3.しかもリファレンスがない。
4.しかも査読のあるジャーナルで出版されていない。
5.しかも彼自身が書いたわけではないようだ。
6.世界を創ったことは本当らしいが、それ以後重要な仕事をしているだろうか?
7.共同研究の能力は極めて限られている。
8.彼の結果は再現性がない。
9.彼は人間に関する研究をするのに倫理委員会の承認をとったことがない。
10.ほとんどクラスに出てこず、ただ生徒に本を読めというだけである。
11.彼の息子たちにクラスを教えさせているとも言われている。

大学院生のうそトップテン

10.大学の同級生が年収1000万を稼いでいても気になりません。
9.あなたの本や論文の校正はよろこんでやります。
8.私の仕事は実際たいへん重要です。
7.私は学部生とはデートしません。
6.あなたの最近の論文はとても面白いです。
5.私はここへくるのにいくつものいい就職先を断ってきました。
4.もう一つだけ本を読んでから書き始めます。
3.研究室はたいへんよくサポートしてくれます。
2.私の仕事の展望はたいへんよいです。
1.いえ、あと2年で外へ出て行きます。

お父さんとお母さんへ、

大学へ入って家を出てからもう半年になります。書こう、書こうと思いな がらもいままで手紙もかかずにごめんなさい。今日はお知らせしたいことがあ るのですが、これを読む前にどうか腰掛けてください。立ったまま続きを読ま ないでくださいね。

そう、今は私はとっても元気でやってます。こちらに着いてすぐに寮が火 事になったんだけど、そのとき窓から飛び降りて複雑骨折して大やけどしたの も今ではだいぶよくなりました。入院はたった2週間だったし、今はもうほと んど外見は普通にもどって、ただ、今は日に一度頭が痛くなるだけです。

幸い、火事と飛び降りたのをそばのガソリンスタンドの店員が見てて、消 防車と救急車を呼んでくれたの。その店員は入院先にも訪ねてくれて、その後、 私の寮が燃えてなくなってしまったからと彼の部屋に住んでいいと言ってくれ たの。そこは実は地下室なんだけど、素敵な部屋なのよ。彼はとってもいい人 で、私たちは恋に落ち、結婚するつもりです。まだ日にちは決めてないけど、 私のおなかが目立たないうちにと思っています。

そう、お父さん、お母さん、私、妊娠しています。お父さんもお母さんも、 孫が生まれるのを楽しみにしていると言っていたから、私が小さいころと同じ ようにかわいがってくれるよね。私たちの結婚が遅れるのは、彼がちょっとし た病気で結婚前の血液検査が通らなくて、私も不注意でそれがうつってしまっ たからなの。でも、今は毎日ペニシリンを注射しているから、もうすぐ解決す るはずです。

お父さんもお母さんも彼を気に入るはず。彼は優しいし、ちょっと教育が 高くないけど、野心があるの。私たちと人種と宗教が違うけど、お父さんもお 母さんも寛容だから彼の肌の色がちょっと私たちより黒っぽいことなんて気に しないよね。きっと私と同じように好きになるはずよ。彼の家族ももちろんす ばらしいよ。彼のお父さんは、彼の出身地のアフリカの村で銃の達人だって言っ ていたもの。

さあ、今私はお知らせしなければならないことがあるのだけど、実は寮の 火事はなかったし、やけども骨折もしてないし、入院もしてなければ妊娠もし てないし、婚約もしてないし、病気ももらってないし、彼もいないの。でも、 歴史で「可」、科学で「不可」をとっちゃったんだけど、この成績を冷静に見 てほしいだけなの。

英理子より

飛行機が羽田空港を離陸し、高度を上げて安定飛行に入ると機長が機内放 送をした。「皆様、こんにちは。私この飛行機の機長伊藤でございます。本日 はフライト293を御利用下さいましてありがとうございます。この飛行機は 東京から福岡まで約2時間のフライトとなります。天気はこのさきずっと快晴 で、静かなフライトとなります。みなさま、お席でゆっくりとリラックスし て、、、うわっ!」

沈黙。

機長が再びアナウンスを始めた。「みなさま、さきほどは大変失礼しまし た。私が話している途中でスチュワーデスが熱いコーヒーを持ってきて、私の 膝の上にこぼしました。私のズボンの前がこんなになっちゃって、みなさまに 見て頂きたいくらいでございます。」

客席の乗客の一人がそれを聞いて、「そんなのたいしたことない。彼はま ず私の背中を見るべきだ。」


Takahiko Matsubara
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