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アメリカにおける車の購入についてのノート

アメリカでは車は必需品である。ニューヨークのマンハッタンなどに住むので ないかぎり、車を持たずにすまそうとすると、かなり不便な生活を余儀なくさ れるだろう。また、治安の面からも、徒歩やバスなどで移動することは危険に 身をさらすことがある、ということもある。

それで、アメリカでは車は贅沢品では決してない。そのためか、車を所有する ことによる出費は日本に比べてかなり安く、車を購入するとき以外にはほとん どお金はかからない。日本では大きな出費になる車検制度は存在しないし、重 量税のようなものもない(すくなくともメリーランド州には)。ガソリン代も、 1リットルあたり30円以下である(1999/1/27 現在)。駐車場代は、郊外に 住んでいれば無料のところが多い(路上駐車もOK)。典型的には車の所有に 伴う主要な出費は保険料ということになるのではないかと思う。

アメリカで車を買うことにしよう、と思い立ったら、まずは情報集めをしたく なるだろう。アメリカでは、ほとんどの用事が電話で済んでしまう、と言われ ているが、最近はインターネットが急激に普及して、ほとんどの用事がウェブ サイトで済んでしまうようになりそうな勢いである。英語が外国語である我々 にとっては、これは、英語が聞き取れなくて困ることがないので、かなり便利 である。さすがに車の試乗はウェブサイトではできないが、かなりの情報はウェ ブサイトで間に合う。

新車、中古車を問わず、どんな車が市場に出まわっているかを知るにはMSN Carpointが便利である。(た だし、マイクロソフトのページのせいか、インターネットエクスプローラーで は見栄えがよいが、ネットスケープで見るとずいぶん見にくい。なんとかして ほしい。)。このページでは年式別に各車種の写真と、その特徴や、値段の目 安、信頼性、よく報告されるトラブル、クラッシュテストの結果などがわかる ので非常に便利である。このページでどのような車種が自分にあっているかを 大体絞っておこう。このページでOn Line 上で車を購入することすら可能である。

さて、矛盾しているようであるが、車を買うのにも車がないとかなり不便であ る。そこで、まずはレンタカーを借りよう。これは、ピックアップサービスを しているレンタカー会社に電話をすればアパートなどまで迎えに来てくれるの で、便利である。私はエ ンタープライズという会社に頼んだ。車を買った場合、その時点でそのレ ンタカーは必要でなくなるが、レンタカーを返すときにも買った場所などへ送っ てくれる。アメリカでは公共交通機関はきわめて不便なので、これは便利であ る。

さて、新車や中古車をディーラーから買う場合には、直接ディーラーへ行こう。 ほとんど郊外にあるので、まずは今自分のいる場所からディーラーへの道順を Dealer Locatorで見つけよう。こ のページでは自分の今いる住所と、行きたいディーラーを選べば道順を地図と 文章で示してくれるという、かなり便利なやつである。

新車をすぐほしい、という場合も、ディーラーにはあらかじめ数十台から数百 台の新車のストックがあるので、その気になればその日に手に入れることも可 能である。一般にアメリカは諸手続きが日本に比べてかなり簡単である。お金 の用意さえあれば「車ください」「はいよっ!」という感じで買えてしまう。 ナンバープレート(Tag)を正式に取得するまではディーラーのくれる紙ででき た一時的プレート(Temporary tag)で走れるし、保険も保険会社に電話をかけ るだけで、その日から適用できる。余談だが、このような融通性は欧米の社会 が信用システムで成り立っているからであろう。そのかわり、お金を期限まで に払えなかったりするとたちまち告訴されるので注意しよう。裁判は日常的に 起こしたり起こされたりしている。もめごとに対してもクリアな解決法を好む のだろう。

中古車ディーラーへ行ったら試乗をしよう。販売員が横に乗ってくれることも あるが、忙しいときは、鍵を渡されて勝手にその辺を走ってこい、と言われる こともある。十分や二十分走ったぐらいでは良く分からないが、走りごこちや 乗りごこちを憶えておく。機器が正常に作動するか、などもを見ておく。信頼 できるディーラーならば、一ヶ月の間に何か不調があった場合の保証をつける はずである。これがついているかどうかは重要である。最後にエンジンルーム を見ておこう、とはいえ、私はどこを見ればいいかのポイントがわからなかっ たが一応きれいかどうかを見ただけ。

日本と同様、新車、中古車に限らず、車に表示された値段は値引きすることを 前提につけられているので、ディーラーと値引き交渉をする。英語に自信のな い場合や、単に交渉するのがめんどくさい、という人のためには、値引きをし ない(したがってはじめから安い)CARMAXなどのディーラーが便利である。 CARMAX では広大な敷地に数百台の中古車、新車が展示されているので、選択 肢も多くなり、中古車回りのめんどうな人には一考の価値があるだろう。この CARMAXのページでは現在のストックと値段がわかるので、実際に行く前にチェッ クしてから行ってみよう。

車の値段はアメリカの中でも場所によって異なるが、Kelly's Blue Bookのページで自分の住んで いる地区の適正な値段を知ることができる。これはアメリカでは有名な、中古 車の値段を定期的に報告しているブルーブックと呼ばれる本のウェブページで あり、このページへ行けば本を買う必要はない。その上、各オプションの有無 など、かなり細かい情報を入力できる。このページで表示される値段よりもか なり高い場合にはもっと値切れるはずである。実際に買う前にこのページは必 ずチェックしておきたい。

中古車をディーラーから買う利点は、整備をしてある、車の取得にともなう手 続きを代行してくれる、一ヶ月の保証をつけてくれる、困ったことが起きたと きに相談できる、などの利点があるが、個人売買よりはかなり高めになる。ま た、年式も比較的新しい、つまり、高めの車が多い。安い車を欲しいとか、整 備は必要ないか、自分でやる、手続きも自分でやる、買ってすぐ不調が発生し ても、自分で修理屋へ持っていって直すリスクは負う、という場合は個人売買 で買う。アメリカでは車の個人売買はかなり一般的で、新聞などの個人広告欄、 あるいはアパートや大学、職場などの張り紙の個人広告などを見れば、その手 の広告はすぐに見つかる。手続きといっても、それほど面倒なことではなく、 自動車の権利書(title、あるいはpink slipと呼ばれる)に売り手と買い手がサ インをしてMoter Vehicle Administration(MVA)へ持っていけば一日ですむ。

さて、中古車を買う場合、欲しい車が決まったら、その車がどういう歴史を持っ ているのかを知りたいであろう。有料(20ドル程度)ではあるが、ウェブペー ジで調べることができる。そのためにはまず、その車の車体に書いてある車体 番号 (VIN: Vehicle Identification Number) を教えてもらい、CARFAXで調べよう。ある程度古い車であ れば、この有料サービスは要チェックであろう。メーターを巻き戻ししてない かとか、事故で廃車になったものを修理したものではないかとか、致命的な問 題があればここでわかるようである。

さて、購入する車を決めたら、保険会社と契約する。はじめに述べたように、 車の所有をすることによって大きな出費となるのが保険料であろう。保険料は 所有者の条件によってかなり細かく分かれている。場合によってはかなり高く なるようである。町中に住んでいて専用ガレージがない場合(盗難の危険が大 きい)や、スポーツカー、25歳以下(事故率が高い)、5年(州によっては 3年)以内の事故暦がある、などの場合にとくに値段が高くなるようである。 信頼性の高い中型車に乗り、郊外に住み、25歳以上で結婚している女性が典 型的に安いらしい。逆に、スポーツカーに乗り、町中に住み、25歳以下で独 身の男性が典型的に高いらしい。特に住む場所が違うだけで、値段が倍以上違 うこともあるようなので、住宅を決めるときには車の保険料のことも考慮する 必要があるかもしれない。また、同じ条件であっても保険会社によって保険料 がかなり異なっているようである。もちろん、これは安ければいいというもの ではないので、信頼できる会社を選んでおく。いくつか信頼できそうな会社に 見積もりを取ってもらって決めればよいだろう。ウェブページNETQUOTEでも無料の見積もりを請求で きる。保険会社に連絡する際には、上で述べた車体番号:VINが必要なので、 事前に調べておく。電話だけで契約できる(州によってはできないところもあ る)ので、あまり面倒なことではない。

さて、数千ドルを超える支払いはクレジットカードではできない。クレジット カードの使用額の上限に引っかかってしまうからである。とはいえ、アメリカ で数千ドル以上の現金を持ち歩くなどということは、たとえ数時間でも、でき れば避けたい(生命の危険さえある)。高額の支払いは小切手を使うのが楽であ る。日本から来てすぐ車を購入する予定で、小切手口座がまだない場合は日本 であらかじめトラベラーズチェックを買って持っていってもよいだろう。車購 入用に高額のチェックを作っていくとよい(枚数が多いとサインが大変であ る)。また、大学などから給料をもらっている場合はクレジットユニオンなど に加入すると、かなり低率のローンを組むこともできるようである。

車を手に入れたら、日本の JAF に対応する、AAA に加入する。このサイトで on line で 加入できる。これに加入していると、ホテルのなどの割引など、いろいろと便 利なのでぜひ加入したい。


Takahiko Matsubara
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