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構造形成の宇宙論

東北大学大学院理学研究科 2008年度集中講義(6月24日〜6月26日)

近年の目覚しい宇宙観測技術の進展を背景とし,観測に基づいた宇宙論の理論 的研究も大きく発展している.宇宙には未知の物質であるダークマターだけで なく,ダークエネルギーという未知のエネルギーが充満していることが示唆さ れるなど,驚くべきことが次々と明らかになっている.このような宇宙論の進 展の背景としては,一様等方宇宙からのずれである宇宙のゆらぎの性質を詳し く観測できるようになってきたことが大きい.本講義では,宇宙論の基礎から 入り,宇宙の密度ゆらぎの形成と進化,またその観測的検証法に関する理論を 系統的に紹介する.

連絡事項:

時間割(予定):

6/24(火):
10:00〜12:00, 13:00〜14:30, 14:45〜16:15
6/25(水):
10:30〜12:00, 13:00〜14:15, 14:30〜15:45, 16:00〜17:00(談話会)
6/26(木):
10:30〜12:00, 13:00〜14:30

講義内容(予定):

以下の題材からいくつかを選んで講義する予定。
- ロバートソン・ウォーカー計量のアインシュタイン方程式
- フリードマン方程式の解法
- 多成分系の場合
- 宇宙論パラメータ
- 宇宙の大局的ふるまい
- 赤方偏移と宇宙論的距離のまとめ
- 宇宙論パラメータの「古典的」決定法
- ロバートソン・ウォーカー計量における線形摂動
- ゲージ自由度とゲージ固定
- 線形アインシュタイン方程式
- 線形ボルツマン方程式
- インフレーション理論におけるゆらぎの生成
- 単成分近似におけるゆらぎの成長
- パワースペクトルと遷移関数
- 光子とバリオンの相互作用効果
- 宇宙背景放射ゆらぎ
- 銀河の空間分布
- 弱重力レンズ場
- 天体分布の相関関数とパワースペクトル
- 高次相関関数とキュムラント
- ランダムガウス場
- ゆらぎの非線形摂動論
- ラグランジュ摂動論
- 摂動論と統計量
- プレス・シェヒター理論とその拡張
- ハローモデル

参考図書

1) 「宇宙論入門」
バーバラ・ライデン(牧野 伸義 訳、ピアソンエデュケーション)2003
2) 「場の古典論」
ランダウ,リフシッツ(恒藤敏彦,広重徹 訳、東京図書)
3) 「観測的宇宙論」
池内 了(東京大学出版会)
4) 「一般相対論的宇宙論」
成相秀一・冨田憲二 (裳華房,物理学選書19)
5) 「相対論的宇宙論」
小玉英雄 (丸善,パリティ物理学コース)
6) "Gravitation and Cosmology"
S. Weinberg (John Wiley and Sons, Inc.) 1972
7) "Cosmological Inflation and Large-Scale Structure"
A. R. Liddle, D. H. Lyth (Cambridge Unviersity Press) 2000
8) "Theoretical Astrophysics, Volume III: Galaxies and Cosmology"
T. Padmanabhan (Cambridge University Press) 2002
9) "Modern Cosmology"
S. Dodelson (Academic Press) 2003
10) "Physical Foundations of Cosmology"
V. Mukhanov (Cambridge Unviersity Press) 2005
11) "Cosmology"
S. Weinberg (Cambridge Unviersity Press) 2008

Takahiko Matsubara
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