宇宙にある粒子は相互作用により、さまざまな運動をしている.宇宙論におい て、これらの粒子の運動の統計的ふるまいが重要な役割を果たす。熱平衡状態 であれば、物理量は熱力学変数により単純な形で表されるが、宇宙の進化の過 程では、非熱平衡状態がさまざまな形で現れる.したがって、宇宙論において は膨張宇宙、あるいは一般に曲がった空間中での非熱平衡系の統計力学が有用 である.この章では、これを取り扱う.