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ビッグバン宇宙モデル

宇宙の進化の過程において,物質成分の密度はスケール因子の$ -3$ 乗に比例し て減少してきたのに対して,輻射成分の密度は$ -4$ 乗に比例してもっと速く減 少してきた.これを時間を遡って逆に考えれば,現在の宇宙では物質成分が優 勢であるが,宇宙初期では輻射が優勢になってくることになる.輻射優勢の場 合,ステファン・ボルツマン則により,輻射のエネルギー密度は温度の$ 4$ 乗 に比例するので,温度はスケール因子に逆比例することになる.つまり,宇宙 初期にどんどん遡って行けば非常な高温状態が実現される.そのような高温状 態では宇宙の中の物質間で,粒子の生成消滅反応を含む大きな相互作用が存在 し,熱平衡状態になっていると考えられる.そのような状態から宇宙が冷える ことにより,相互作用が切れて現在の宇宙に存在する物質を形作ったことにな る.



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