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銀河の計数

共動体積あたりの銀河の数がもし一定であるとすると,銀河の数が共動体積の 指標になる.遠くの宇宙で共動体積がどう変化するかは宇宙の曲率や膨張速度 を反映しているので,これらを決める方法になると考えられる.座標距離$ r$ よりも内側にある銀河の総数を$ N(r)$ とすると,共動体積あたりの銀河の数 $ n_0$ が一定の場合,

$\displaystyle N(r) = n_0 \int_{r'\leq r} d^3 r' \sqrt{\gamma} = 4 \pi n_0 \int_0^r \frac{r^2 dr}{\sqrt{1 - K r^2}}$ (B.9.65)

となる.このテイラー展開は,

$\displaystyle N(z) = 4 \pi n_0 \left(\frac{cz}{H_0}\right)^3 \left[1 - \frac32 (1 + q_0) z + {\cal O}(z^2)\right]$ (B.9.66)

となり,比較的近傍の宇宙で$ N(z)$ $ z$ 依存を観測することにより減速パラ メータ$ q_0$ が原理的に求められる.より遠くの宇宙を観測すればスケール因 子の振舞いがさらに詳細にわかると考えられる.

現実には銀河の数は一定でないであろうことに加えて,遠くの暗い銀河は観測 にかからないので,そうでなくても数が減る.そこで上の方法を実際に用いる にはどのような明るさの銀河が単位共動体積あたりいくつ存在するかをあらか じめ見積もっておく必要がある.観測するバンド,感度によって,どのような スペクトルを持つ銀河を観測できるかが決まるので,銀河のスペクトルの進化 と数密度変化の知識が必要である.だが,銀河の形成,進化がまだ理論的にはっ きりとは明らかになっていないため,これらを正しく見積もるのは実際には容 易なことではない.




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