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宇宙論よくある質問

質問

宇宙は光速よりも速く膨張しているのですか?
もしそうなら、それは物理学の基礎原理に矛盾しているのではないですか?

答え

遠くの物は光速よりも速く遠ざかっています。相対性理論をすこし知っている 方は、光速よりも速いものはないはずなのに、それはおかしいと思うかもしれ ませんが、これは相対性理論と矛盾してはいません。相対性理論で禁止されて いるのは、ある出来事の情報が光速以上で他の場所に伝わって何らかの結果を 及ぼすようなことで、このようなことがありえないことを「相対論的な因果律」 といいます。この原則が破れると相対性理論では時間を逆行することができる ことが示され、結果が原因の前に来るという、全くおかしなことになります。 現在の物理学では、基礎原理として因果律は破れてはならない原則とされてい ます。しかし、もし、光速以上のスピードを持つ物体があっても、その物体が 光速以下の物体となんの相互作用もしないのであれば、この物体は相対論的因 果律に矛盾せずに存在することができます。このような粒子はタキオンと呼ば れ、物理学の基礎原理に矛盾せずに存在してもかまわないことが知られていま す。

膨張宇宙では遠くの天体はそこまでの距離に比例した速度で遠ざかっています。 すると十分遠くの宇宙の速度はどうしてもいずれ光速以上になる必要がありま す。そうでなければ宇宙全体が一様に膨張することはできません。ここで、時 空間が全く静止した状態で銀河の相対速度だけが光速を越えるならば、上述の 相対論的因果律に矛盾するのですが、膨張宇宙とはそういうものではなく、時 空自身が膨張しているのです。単に銀河が相対的に遠ざかるということと、時 空そのものが膨張するということとの間には大きな違いがあり、時空の膨張の 場合、距離の膨張率が光速を越えてしまうような遠方の場所からはどのような 方法によっても信号が届くことがなく、全く観測不可能な場所になることが示 されます。これは一種のタキオン状態であり、我々と相互作用のない物体がた とえ光速を越えていようがいまいが物理学の基本原理である相対論的因果律に はなんの問題もない、ということになります。

光速を超えるものは存在しない、という言葉は啓蒙書によく書かれているので すが、これは非専門家向けにやさしく解説した言い方であって、実は正確さに 欠けた言葉であると考えておいてください。正確には、光速を超えて情報が伝 わってはならない、という言い方の方がより正しいのです。この正しい理解を していれば、遠方の銀河までの距離が光速を越えて増えていると言われたから と言って、驚く必要はありませんね。



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